10歳までのネコちゃんCats up to 10 years old
ネコちゃんとの暮らしについて
ネコちゃんは1~2歳くらいで性成熟を迎え、心身ともに成猫になります。1~6歳までは「青年期」といわれる時期にあたり、健康でアクティブな毎日を送ることができる時期です。
このページでは飼育し始めから10歳程度までのネコちゃんとの暮らしで気を付けていただきたいことを記載しています。基本的な予防や病気については、「ネコちゃんの健康管理」についてのページをご覧ください。
ネコちゃんの健康管理
11歳以上のネコちゃん
ネコちゃんは室内飼育をお勧めします
ネコちゃんが屋外に出てしまうと、色々な危険があります。できる限りお外に行かないようにしてあげましょう。
交通事故や落下事故
車との接触事故や高所からの転落事故では、出血や骨折、内臓の損傷など、強いダメージを受けることが多いです。一命をとりとめても、下半身不随になってしまうこともあります。特に発情期のオス猫は、落ち着きをなくしていることも多いため、交通事故にあうリスクも高まります。
他のネコちゃんとのけんかによる外傷
ネコちゃんは縄張りを持つ動物です。
自分の縄張りに侵入してきたネコと激しいけんかをしてしまうこともしばしばあります。
ネコちゃんの爪や歯はするどくとがっていますので、外からは小さな傷に見えても、奥深くまで細菌が入り込んでおり、大きく腫れて発熱してしまうこともあります。
その際にウイルスが体内に侵入し、病気にかかることがあります。
寄生虫や感染症(ノミ・ダニ・ウイルス等)
ノミやダニは、草むらや他のネコから移ります。
それらは強いかゆみを引き起こすだけでなく、瓜実条虫のようなおなかに寄生する虫を媒介することもあります。
また、人にも感染してかゆみを生じ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のような重篤な病気を媒介する危険もあります。
感染ネコちゃんとの接触やけんかの咬み傷から、以下のようなウイルス性の病気にかかるリスクが高まります。
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
白血病や腫瘍の原因となるだけでなく、免疫力を低下させ日和見感染を引き起こします。
全てのネコが発病するわけではありませんが、発病すると数ヶ月から数年で死に至ります。
猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)
猫エイズとも呼ばれ、感染初期には発熱、下痢、リンパの腫れなどの軽い症状を示し、その後は無症状の期間が数年に渡って続きます。
そのまま寿命を全うできることもありますが、日和見感染や腫瘍を生じるエイズ期を迎えると死に至ります。
猫汎白血球減少症(FPLV)
嘔吐、下痢、発熱等の症状を起こし、さらに白血球の減少により、他の疾患をひきおこしやすくなります。
特に子猫で致死率の高い病気です。
猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)
猫風邪を起こすウイルスのひとつで、くしゃみ、鼻水、よだれ、目やに等の症状を起こします。
症状が重い場合には、発熱、食欲不振により死亡することもあります。また、回復後も体の中に残り、抵抗力が弱まると再発します。
猫カリシウイルス感染症(FCV)
猫風邪を起こすウイルスのひとつで、猫ウイルス性鼻気管炎と同様の症状に加え、舌などの口の中に潰瘍を生じて痛みをおこすことがあります。
お家での環境作り
運動できる環境を作る
キャットタワーを設置する、上下の運動ができるように、お家の中で一番高い所、棚やタンスの上に乗れるようにしてあげるなど運動できる環境を作ってあげましょう。
また、一番高い所にお気に入りの毛布や座布団、寝床を置くなどしてあげるのも効果的です。
爪とぎの置き方を工夫してみましょう
爪の外側の房をはがすのが主な目的ですが、そのほかにもマーキングの役割もあります。そのため、ネコちゃんがよく通る道や目立つ所に爪とぎを設置することをお勧めします。
初めは少し多めにそして垂直面に爪とぎを設置すると、して欲しくない所で爪とぎされるのを防ぐこともできます。
お水は常に新鮮な状態に
お水は常に新鮮な水をいつでも好きな時に飲めるように、ネコちゃんがよくくつろぐ所の近くに置いてください。
特に冬場は水分摂取量が減少する傾向にあり、その結果で尿石などの病気になってしまうこともあります。
出来る限り水分補給を上手にできる環境を整えてあげてください。
ウイルス検査
ウイルス検査では、
① 猫免疫不全ウイルス(FIV) ② 猫白血病ウイルス(Felv)
という2つの感染症を調べることができます。感染の有無を定期的に調べておくことをお勧めしています。
1ml程度の採血をするだけで検査が可能ですので、小さな子猫でも安心して検査を受けていただけます。
避妊・去勢手術について
ネコちゃんの将来のために
将来的に、繁殖を希望されない場合には、早い時期での避妊・去勢手術をお勧めしています。
早い時期に手術を行うことで、将来の病気を防ぐことができます。
年1回は健康診断の受診を(10歳期まで)
健康な時期の検査数値を把握しておく
若い頃から定期的に健康診断を受けておくと、健康な時期の検査数値を把握しておくことができます。
教科書などに記載のある「標準的な検査数値の範囲」は存在しますが、動物個々でその正常値が異なります。
健康時のデータを把握していればその子の適正範囲が分かりますので、異常があった場合にも安心です。
健康診断に慣れておきましょう
血液検査、エコー検査、レントゲン検査など、ネコンちゃんの健康状態を調べる検査はたくさんあります。
10歳以上の高齢期になると病状によって色々な検査を行う必要が出て来ます。
高齢になって初めて行う検査ばかりですと、ネコンちゃんの負担も大きくなります。
若い頃からある程度検査に慣れておくと、シニア期の検査を行う際にも安心です。
日常生活で気を付けたいこと
1.日々の健康チェック
大事なネコちゃんにはいつまでも健康でいて欲しいと思いますよね?
些細な不調のサインを見逃さないためにも普段の状態をきちんと把握することを心がけましょう。
毎日見てあげて欲しい項目
食欲 | 食欲はあるか?お水は飲んでいるか?など摂取量や様子などをチェックしましょう。 |
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行動 |
体をなめ続けるのはストレスかもしれません。 いつもと違う仕草をしていないかをチェックしましょう。 |
排泄 | 色、臭い、量、回数、固さ、など健康な時の状態を知っておくことが大切です。 |
ボディチェック | しこりや脱毛はないか?触った時に痛みを訴えないか?など異変がないかをチェックしましょう。 |
2.肥満防止
まるまるとしているネコちゃんは可愛いですが、肥満が引き起こす病気が多いのも現実です。
肥満は病気のリスクとなることも十分に理解していただき、ダイエットに励んでいただくことをお勧めします。
肥満の原因を考えよう
ご飯・おやつのあげすぎ | ネコちゃんの体は、年齢や状態によって必要な栄養素が異なります。 そのため、適正量を超える栄養分は脂肪になって体内に蓄積されやすくなります |
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運動不足 | 室内飼いのネコちゃんは特に注意が必要です。 室内に運動用の器具を置いてあげたり、飼主さんと遊んだり、日常的に体を動かせられる環境を用意してあげることが大切です。 |
その他 | 遺伝や病気によって太りやすい体質も子もいます。 また、避妊・去勢手術の後は基礎代謝が減って太りやすくなることもあります。体質や状況に合わせた食事をあげることも検討してあげましょう。 |
3.迷子にならないように
室内で飼っているネコちゃんでも、脱走して迷子になるおそれもあるなど、ネコちゃんが迷子になってしまうことがあります。
迷子になってしまった時の対策も行うことをお勧めします。
迷子対策としてできること | ・首輪などに迷子札を付けておきましょう。 ・マイクロチップ をお勧めしています。 |
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迷子になってしまったら | 【いなくなった場所を探す】 室内飼いのネコちゃんが迷子になった場合は、知らない場所におびえ、物陰に隠れていることが多いようです。 まずは近くの物陰をしっかりと探してあげましょう。また、探す時はキャリーバッグやネコちゃんの好きな食べ物などを持っていくと良いでしょう。 【関係機関に連絡する】 周辺を探して見つからない場合には、どこかに保護されていることも考えられます。地域の保健所や動物愛護センター、警察などに問合せしてみましょう。 |